紅茶ができるまで
紅茶はどのような流れで作られているのでしょうか?「紅茶とは」の項目でもお話した通り、同じ茶葉からその製造方法の違いにより、紅茶、緑茶、ウーロン茶など違うお茶になっていきます。
ここでは、紅茶ができるまでの工程をご紹介していきます。
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<オーソドックス製法>
伝統的で最も一般的な製法。茶葉の形状を残してリーフタイプを製造する方法。
<1> | 収穫・茶摘み | ||||||||||||||
苗木から3〜4年ほど経った木の生葉の「芯(枝の先端の芽)」と、そこから数えて3枚の葉までを摘む方法が一般的。これを「一芯三葉摘み」と呼んでいます。ひとつの芯から1枚だけしか摘まないものは高級茶葉となります。 通常茶摘みは機械などは使わずに、ひとつひとつ丁寧に手摘みされます。 【茶摘みシーズンの区分】 茶摘みのシーズンは以下のように分類されます。
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<2> | 萎凋(いちょう) | ||||||||||||||
次の工程で行われる「揉捻」のため、茶葉に含まれる水分量を調節する作業です。 新鮮さを保ちながら工場へ運ばれた生葉は、網や麻布の上に薄く広げて風通しの良い場所で15〜20時間陰干しに、または大量の温風を送って8〜10時間ほど乾燥させます。 この過程で茶葉がやわらかくなり、茶葉の水分は30〜40%蒸発し元の茶葉の重量が約55%に減少。 茶葉の香りは、果実のようなフレッシュな香りへと変化します。 特に香りの強いダージリン紅茶などの場合はこの萎凋を強くし、茶葉の重量が元の40%になるまで行ないます。 |
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<3> | 揉捻(じゅうねん) | ||||||||||||||
萎凋の終った茶葉を、揉捻機にかけて揉み潰す工程です。 茶葉に圧力をかけて揉むことで茶葉の組織細胞を壊し、紅茶の成分を抽出しやすい状態にすると同時に、茶葉中の酵素やカテキンを供給して、酸化発酵が順調に行えるようにします。また、茶葉の形状を整えるためにも行います。 一回では全ての茶葉の揉捻は困難なため、「篩分(ふるいわけ)」の後再度行われます。 |
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<4> | 玉解(たまどき) | ||||||||||||||
揉捻によりかたまりになっている茶葉を、解きほぐす工程の事です。発酵の際、茶葉にムラができないようにするために行ないます。 | |||||||||||||||
<5> | 篩分(ふるいわけ) | ||||||||||||||
細かくなった茶葉をふるいわけ(篩分)する工程です。通常機械などを用いて行ないます。細かくなった茶葉は、直接発酵にかけ元の茶葉と混ぜ合わせます。 | |||||||||||||||
<6> | 再揉捻(さいじゅうねん) | ||||||||||||||
30分程度かけて再び揉捻を行ない、茶葉の形状を整えます。 | |||||||||||||||
<7> | 酸化発酵 | ||||||||||||||
茶葉中に含まれる酸化酵素の作用を利用してカテキン類を酸化発酵を促進する工程。 気温20〜25℃、湿度約95%に設定された場所に茶葉を約3時間ほど置きます。 酸化酵素の働きで、茶葉は緑色からツヤのある鮮やかな褐色となり、紅茶独特の芳香を放ちはじめます。 |
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<8> | 乾燥 | ||||||||||||||
十分に発酵した茶葉を約100℃の熱風で加熱し乾燥させます。そうする事で、茶葉内の酵素を消失させて発酵を終了させます。この工程で、茶葉の水分量は約3〜4%程にまで減少させる事ができます。茶葉は濃い褐色となり「荒茶」ができます。この段階で紅茶の風味は決定すると言われています。 | |||||||||||||||
<9> | 仕上げ・グレード分別 | ||||||||||||||
乾燥した荒茶をふるいにかけ、茎など余分なものを取り除きます。形やサイズを揃え、茶葉のグレードを分別します。 |
<セミオーソドックス製法>
オーソドックス製法の「揉捻(オーソドックス製法<3>参照)」後に、茶葉を専用の機械に通し細かく粉砕する方法です。オーソドックス製法で抽出する紅茶の香りと味わいに近く、より短時間の工程で済みます。スリランカをはじめ、近年世界各地で増えてきている製法です。
<CTC製法>
「Crush」「Tear」「Curl」の頭文字をとったもので、その名の通り「押しつぶし(Crush)」、「裂き(Tear)」、「カールする(Curl)」製法。近年急増している製造法で、ケニアやアッサム地方をはじめ世界で最も多く採用されている方法です。
弱めの「萎凋(オーソドックス製法<2>参照)」の状態で行うので、より時間を短縮して紅茶を抽出する事ができます。主にティーバッグの製造で行われます。
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